2005年07月29日

劇場感染記「ライフ・アクアティック」

LIFE AQUATIC.jpg

現実と理想の狭間でもがきあがいたことないかーい(豊っぽく)
自分が何かを成し遂げようとするとき必ず何かが犠牲になる。
多くの人が語ることではあるがわかっていてもはっきり犠牲にするものが見えない人が多いのでは?
かく言う僕もその一人。
だからこそこの映画の切なさが胸に迫る。
天才ウェス・アンダーソン監督の最新作。
おちこぼれ海洋冒険ストーリィ!!

主役のズィスーは海洋学者にして海洋ドキュメンタリー映画の監督。
冒険をフィルムに残しそれをドキュメント映画として公開して資金を稼ごうとしてる。
チーム・ズィスーはその道のプロばかりではなく、どこか間の抜けた良く言えば個性的、悪く言えばおちこぼれた人間ばかり。と単位がほしい大学生達。
彼らに共通しているのはときに勇ましく頼りがいがあり、時に自分勝手で傲慢でスケベなズィスーを慕っていること。(学生は単位ほしさに従うのみ)

ズィスーをはじめ、クルー達は一生懸命なんだけど、なんだかずれてるため、その行動や会話が、どことなく可笑しい。
この微妙な感覚がアンダーソンの妙味で、徹底的に笑いを目指してるわけでなく、脱力系で統一されてるわけでなく、その中間というホントに説明するのが難しいところで、だから僕の表現の仕方も曖昧に濁すしかなくなってしまう。

まぁ、思い返してみればストーリー自体は大したことはない。
最近、以前の名声に陰りが見えるため「今度こそは、一発当ててやる!」と新たな冒険に出ようとするズィスー。
それには、前回の冒険でジャガーザメに食い殺された仲間の敵討ちという目的もあった。


アンダーソンの映画はとにかくキャラの個性をその独特のセンスで作り上げる映像、セリフ(と彼選曲の音楽)の上に際立たせるのが特徴(だと思う)。
様々な障害をそれぞれが、真面目なんだけどオオボケといったスタンスで乗り切っていく。

つーか、出演者、元々アクの強い面々なんだけどね。
ズィスー役のビル・マーレイはもちろん、コメディが好きで好きでたまらないという雰囲気を醸しつつ、シリアスな演技もこなすオーウェン・ウィルソンとか、ここでは泣けてくるほどとぼけた味の怪優ウィレム・デフォーとか真面目な顔つきがなぜか可笑しいケイト・ブランシェットとか、大ボス風情満点のアンジェリカ・ヒューストンとか・・・
ね、
ラーメン食べた後のゲップみたいに濃いでしょう?

らいふ・あくあてぃっく.jpg


後でじわじわ来るようなブローを笑いのツボに当てられながら話は展開するのだけど、ぼろぼろになったチーム・ズィスーがたどり着いたものを見たときに不覚にも涙がこぼれそうになった。


そうだよなぁ、やりぬいた者だけが見える風景ってあるんだよなぁ。


そこに至るまでズィスーはいろいろなものを犠牲にしている。

だから、ラストシーン、喝采を受ける場面であんな表情を見せたのだろう。
「バカでゴメンね」と。

バカでも憎めない。
まして狭い船の中ですごすからチームは他人同士とはいえ、家族同様。
絆は深い。
実のところ、「家族のまとまり」に郷愁を感じながら期待しているのがアンダーソン自身なのかもしれない。
前作「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001)もバラバラになった家族の(一応の)再生の物語だったし。
傑作だったし。

僕が考える名監督の共通項、「人間をごまかしなく描く。」を軽やかに実践している映画でございました。

ネットをはじめどこそこでこの映画に対しては批判的な意見が多いけど・・・・


ちなみに海の生き物の造形は「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993)のヘンリー・セリック。
カラフルでファンタジックな生き物は目を楽しませてくれますよ!
僕がはまったのは「クレヨン・タツノオトシゴ」と「キャンディー・ガニ」。

もひとつちなみに劇中流れる曲にデビッド・ボウィをポルトガルでカバーしたのがあって、これがまたかなりいい雰囲気!


THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU (2005)
上映時間 118 分
「人生は、海だ。
広く、深く、そしてショッパイ。
荒れる日もあれば、穏やかな日もある。
永遠の謎を秘めた、美しいもの。」

監督・製作・脚本: ウェス・アンダーソン 

出演:ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ケイト・ブランシェット、アンジェリカ・ヒューストン、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、マイケル・ガンボン


posted by はやし at 09:35| 熊本 ☔| Comment(2) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。
ウェス・アンダーソンのほかの作品は見た事ないんですが、非常に不思議な人っぽいですね。(見た目がBeck に似ている感じ)
Posted by はるちゃん@NY at 2005年08月02日 04:07
どーも!!

アンダーソンの作風はすごく好きです!
っていっても他には「ロイヤル〜」と「天才マックスの世界」
の2本しかないんですけどね。

作風からして不思議ですからねーー。

>見た目がBeck に似ている感じ

あ、確かに・・・
Posted by はやし at 2005年08月02日 06:36
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

ライフ・アクアティック
Excerpt: ←コレ、観ましたぁ。 はじまりの音に、ルンルン!! ライフ・アクアティック 監督
Weblog: それがどうしたダイアリー
Tracked: 2005-08-01 21:26

■〔映画雑談Vol.4〕「脱力した時に心に効く映画10本・ダーリン篇」&『ライフ・アクアティック...
Excerpt: 皆さん、こんばんは?? さてさて、 脱力気味な時、気落ちしている時などに得がたい心的カンフル剤となってくれる(くれた)映画が僕には少なからずあります。 ―という訳で、今回は、 「脱..
Weblog: 太陽がくれた季節
Tracked: 2005-10-22 13:39
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。